topimage

2017-10

藤原岳(ふじわらたけ・1144m) - 2016.04.09 Sat

藤原岳でアズマイチゲと遭遇
 4月になってから藤原岳に登る機会を窺っていた。天気とか、私用とかのため、なかなか行くことができなかったが、6日(水曜日)にチャンスがやってきた。
 朝食もそこそこに車に乗り込み、一路、鈴鹿へと向かった。
 出発は何時もより早く、7時前であった。このような早い時間に出発することは稀有なことだが、これには理由があった。
 大貝戸登山口に付属する駐車場は30台くらいの収容能力があるが、人気の山だけに早くに満車になることが多い。これが早出の理由である。
 道中、順調に走ることができ、8時30分頃に駐車場に到着した。しかし、このとき、正規の駐車スペースは満車になっていた。でも、白線外に駐車するスペースが残っていたので、ここに車を停める。
 これで安堵。まずは便所に行って用を足し、次いで身支度を整える。
 着衣は何時もと変わらないが、靴は最近の定番の長靴ではなく、久しぶりに登山靴を履くことにする。登りだけなら長靴でも登山靴でも大差ないが、下りになると長靴だと踏ん張りが利かないため、脚力に自信がなくなったことを勘案して、こういう選択になった。
藤原岳完成図ブログ
 9時少し前、8時55分頃に駐車場を後にして、登山口である神武神社の鳥居を潜った。
 このときの天気は、穏やかな晴れ。天気予報どおりの登山日和といって差し支えないようないい天気であった。また、気温も薄手のスポーツシャツでちょうどよく、ウィンドブレーカーを余分に羽織っていた3月に比べると暖かくなったことが分かる。
 鳥居先の神社本殿で礼拝して、再び、歩き始める。
 ここからは神社の裏庭の中をつききるように緩やかに登り上がっていくのだが、以前、ここは平坦な道のように感じていた。しかし、今、歩いてみると、どうして、なかなかの難儀になってきた。
 この道は、やがて大貝戸谷にぶつかって終わる。そして、ここからは旧登山道に交わり、以後、昔からの道を歩いていく。この道は土であること、加えて何十年にもわたって登山者に歩かれているだけに、深くえぐれて堀割道になっている。
 この堀割道には、土留めと階段を兼ねたような丸太の階段状のものが所々に設えてあるが、これが曲者で歩き始めには堪える。
 2合目が近付いてきたと思っていると、1人の登山者が追い付いてきた。道を譲るが、「もう直ぐ、2合目だから、このまま行こう」と先を急ぐ様子でもないので、そのまま会話を続けながら歩き続ける。
 彼は、地元、いなべ市の住人で私と同い年だとのことだった。彼は9時過ぎに登山口を出発したとのことで、10分近くをこの短い距離の内に追い付いてきたという健脚だ。
 同い年ということもあって、古い同好の士の噂話をしながら歩いていると、いつしか3合目にやってきていた。ここで体温調整のために互い上着1枚を脱ぎ、私は半袖のTシャツ1枚の姿になる。
 杉の植林を抜けて辺りが雑木林に変わってくると、間もなく、4合目に到着する。ここでは水分補給の小休止をしただけ、そそくさと歩き始める。休憩時間は5分に満たない短いものだった。
 ここから花がボツボツと顔を見せ始める。タチツボスミレやシハイスミレなどのスミレ類、また、ニシキゴロモも所々で紫色の花を付けている。だが、これらの花はありふれた花であり、写真は何時でも撮れるということもあって、目で確認するだけ。立ち止まることなく、先を急いだ。
 登山道は、再び、杉の植林の中へと入っていく。すると直ぐに登山道は直進と右折の道の二手に分かれている。直進は、正規の道で大きなジグザグを緩やかに登り上がる道。右折は、ジグザグが小さく、前者に比べて急だが近道という道だ。
 何時もは後者、ショートカットの道を登っているが、本日は少し膝へもヘバリがきたしていることもあって、彼に直進の道で行くと伝えると、彼の答えは私の予想とは裏腹に何時も直進の道を使っているとのことであった。こうして2人旅は、これからも続く。
 この道を進んでいくと、6合目の看板が目に入ってくる。何時もはショートカットの道を歩いているので、この6合目は通らない。このため、久しぶりにこの標識を見ることになるが、別に感激などは起こらず、そのまま通過する。
 この辺りから道の両側に溜まった杉の落ち葉の間から白い花が点々と姿を見せるようになる。ミヤマカタバミである。この花の葉っぱが、わが家の家紋(丸に方喰)ということもあって親近感はあるものの、この花は陽が当たらないと開かないことが多く、ここに咲くたくさんのカタバミのほとんどが蕾状というか、半開き状のものばかりであるのが残念である。
 大きくえぐられるように壊れた沢を過ぎると植林は途切れて明るい太陽が降り注ぐ広場にやってきた。ここが8合目だ。
 8合目に到着したとき、10時35分。登山口から1時間40分がかかった勘定である。これが早いか、遅いかは何ともいえないが、私だけだったらもう少しかかっていたかもしれないと思うと、これが2人旅効果ともいえる。
 8合目の近くにはカタクリやミノコバイモの咲く場所があることをこれまでの経験で知っているので、彼を促して空身でここまで足を伸ばしてみる。
 すると、ミノコバイモは見付からなかったが、花びらを綺麗に巻き上げたカタクリが見付かった。この他にも、たくさんのヒロハアマナも咲いているのが確認できたので、カメラを取りに戻って撮影会の開催となった。
 このとき、彼の撮影スタイルが独特だったので印象深かった。そのスタイルとは、花の前に折畳み傘広げて、この傘の中へ縮めた身体を入れて撮っていた。花びらに直射日光が当たるとハレーションを起こすので、これを防止するためのようだが、このスタイルで写真を撮る人に出会ったのは初めてのことだった。
 再び、歩き始める。
 ここからは花が出てくるので、何が見付かるかに期待がもたれる。このため、カメラをザックに仕舞うことはせずに三脚を付けたままで手に持って歩くことにする。
 歩き始めて直ぐにセリバオウレンが多く咲く場所があるが、今は道沿いにロープを張って入り込めないようになっている。仮に、ロープがなくて入られたとしても、時期は過ぎているので花を見ることはできないと思っていると、道端で花を残しているものが見付かった。でも、既に実を付けているものだった。私は、実を付けたこの花はあまり好きではないので、そのまま立ち去った。
 それより1度だけ、この辺りでトウゴクサバノオを見たことがあったので、これに期待していた。前回、入道ヶ岳から下山した折、小岐須渓谷まで足を伸ばして、この花を撮影しようと試みたが、道路工事中で登山口まで到着できずに諦めた経緯があったので、ここに期待すること大であったのだ。
 こんなことを考えていると、道脇の斜面に小さな白い花が半開きの状態で、1輪だけが咲いていた。葉っぱが見付からないので花の名前が分からないが、私にはニリンソウのように思えた。しかし、同道の彼はミスミソウだという。どちらが正解かについては審らかでない。花が開いていないので、撮っても撮らなくてもどちらでもよかったが1枚だけはカメラに収めておいた。
 暫く歩いていくと、黄色の小さいものが目に入ってきた。思わず、「あった」と大きな声を上げていた。そう、トウゴクサバノオが見付かったのだ。ここで、再び、撮影会を開催する。
 この花の咲いている場所が撮影には不向きで、カメラを斜面の上のほうに設置して花を見下ろすような形を取らざるを得ず、時間がかかることになった。このため、彼とはここで別れることになる。
 この撮影を終えて再び前進を開始する。もちろん、道端に何か花が咲いていないかと注意深く左右に視線をやりながら歩いていく。
 この辺りから、この山を全国区の山とした花、フクジュソウが咲く。しかし、今年は暖冬のためか、花の咲く時期が前倒しの傾向があり、ここらのものは花を落として葉っぱだけがフサフサと残っているものや、花びらを疎らに残すというものとか、満足な形の花は残っていなかった。私は、この花はそれほど好きな花という訳ではないので、このような現状に接しても落胆することにはならなかった。
 また、こうして歩いていくと、ここにはトウゴクサバノオが多く咲いているのに気付く。これまで、この季節に何度も歩いているが、この花を見たのは1度きりであったのが嘘のように、あちらこちらに点在するように咲いていた。ちなみに、帰りにここを通ったときには1ヶ所に10以上の花を付けた株が見付かったほどである。
 更に歩みを進めると、右手に白い固まりがボッと見えた。『花だ。何だろう……』と思って、それに目を近付けてみるとキクザキイチゲだった。この花も、本日の見てみたいと思っていた花の1つだ。しかし、もう少し先で見ることを予定していたので早々とここで見られたのは幸先良いと喜び、早速、撮影を開始した。しかし、咲いている場所が、本日、持ってきている三脚では届かない高い位置だったので、手ブレが起こらないように細心の注意を払って撮影することになった。ちなみに、帰途、この近くの別の場所に咲くキクザキイチゲを見付けた。このほうは開いたものと蕾のものがコラボするもので、形は先に見付けたものより良いものだった。
 これに気分を良くして登っていくが、上手くはいかなないことも起こっていた。久しぶりに履いた登山靴が足になじまず、くるぶしの後ろが擦れて、足に力を入れると痛みが走るようになってきた。また、足を包む靴と足の皮膚が擦れて、これまた、踏み込むときに痛みを発することも苦痛だ。このため、ここから引き返そうかとも考えたが、まだ、上で見たい花があるので、この考えを振り払ってなるべく痛みを感じないように足を使うことに腐心することになる。
 9合目に到着する。ここで腹が減ってきたので、少し腹に詰めることにして、ザックからアンパンを取り出して食べていると、高校生くらいの1集団がやってきた。彼らの話を何気なしに聞いていると、自宅が見えるという内容の話が漏れ聞こえてくる。彼らは地元の高校生グループのようだ。
 そういえば、このルートは大半が樹林の中を歩くし、たまに樹林が途切れたとしても、それは周辺がそうなっただけで見通しが利くような場所は1ヶ所もない。だが、9合目だけは例外で、南のほうの見通しが利く。本日は晴れているので、伊勢湾のほうまでハッキリとまではいかないものの、目を凝らせば判別はできる状態だ。
 ここで食事を兼ねて休んでいると足の痛みも和らいできたので、10合目の小屋へ向かって最後の歩きを始めた。
 最初の内は緩やかな登り勾配に加えて足に優しい土の道であるので助かるが、そのうち、岩混じりの道に変わってくる。この頃から急斜面となるが、登山道は大きなジグザグ道になり、登る斜度はこれまでと大差なく造られているが、それでも少し大きな岩を乗り越えていかなくてはならない場面もあるので、足が痛いと大変さを味わうことになる。とはいっても、前回まで味わったふくらはぎの痛みは、どうしたわけだか本日は起こっておらず、靴ずれの痛みだけであるので助かる。ふくらはぎの痛みと靴ずれの痛みを比べると、どちらも苦痛ではあるが、強いて答えを出せといわれれば、ふくらはぎの痛みのほうが耐え難い。
藤原アズマイチゲ①
 こんな道を歩いていると半開きの白い花に出合う。暫く考えたが、この花が何かは分からなかった。写真だけは撮っておこうと三脚を立てて構図を決めていると、ちょうど、そこへ3人連れがやってきた。その中の1人が、「ここにあったか」と、声を上げる。彼によると、アズマイチゲだという。アズマイチゲは葉っぱが垂れ下がるが、キクザキイチゲは葉っぱが張っているので違いは直ぐに分かると得意気であった。
 これはなかなかの専門家だ。いい人に出会ったと思い、これまでにミノコバイモを見たかと尋ねると、どんな花かと逆に質問された。ということは、彼はミノコバイモを知らない、キクザキイチゲとアズマイチゲのみの専門家のようだった。
 アズマイチゲは、先の奥伊吹で見事に花を開いた大きい群落を見てきている。しかし、鈴鹿では見たことがないし、咲いているという話を聞くのも初めてのことだった。この花は、太陽の光を浴びないと花びら(実は花びらと思っているのはガク)は開かない気難しい花であることは経験済みである。このため、帰りには、太陽の位置が変わって陽を浴びて花が開かないものかと都合のよいことを考えながら、ここを離れる。
 ここから何分も歩かないうちに、大きく花を開き、木立ち越しの木漏れ日を一身に浴びたアズマイチゲが誇らしげに咲いているのに出合う。何という幸運かと喜んだのは当然のこと、早速、撮影に取り掛かるが、ここも先ほどのキクザキイチゲと同じように三脚を建てられない。ここでも手撮りとなるが、失敗分を見越して何枚も余分にシャッターを押しておいた。
 後はミノコバイモに出合えれば上出来だ。登山道周辺に注意を払いつつ、ユックリと進んでいく。とは書いたものの、このときには靴ずれはもちろんのこと、両膝がガクガクしてきていて早く歩こうにも歩けない状態に陥っていた。
 目の前、上方が明るくなってきた。この樹林(植林ではなく自然林)を間もなく抜け出そうである。ここを抜けてしまえば、小屋までは平坦な道になるので、早くここまで来ないかと思いながら登るのが常である。
 やっとのこと、樹林を抜けることができた。ヤレヤレと思うが、ここからもう一仕事が残っている。過去、この平坦部で、ミノコバイモ、キバナノアマナを見たことがある。本日も咲いていると考えてもおかしくはない。
 『柳の下のドジョウ』という諺は知ってはいるが、見たことがあれば本日も見られる可能性は高いと考えるのが凡人の常であり、凡人中の凡人である私がこのような行動を取るのも当然といえば当然である。
 平坦部の歩きは足に力を入れる必要が少ない分、痛みは少ない。歩こうと思えば、これまで以上に早く歩くことはできるが、前より増してユックリと歩いていく。途中で出会った人から、「高山植物ですか」と尋ねられたことからも、私の必死さが伝わったのだろう。
 でも、結果は虚しいものに終わった。何も収穫のないままに、12時15分、10合目の小屋に到着した。
 小屋の前では10名以上の登山者が、思いおもいの形で休んでいたが、小屋に入っていくとヒッソリとしていた。それもそのはず、中にいたのは8合目で別れた彼1人であった。聞くと、彼は30分くらい前に到着したとのことであった。私が如何にユックリと歩いてきたか、いや、歩けなかったかを悟ることになり、少し寂しく感じた。
 小屋の中で、9合目で食べ残したパンを食べていると、彼は花を探しに行くといって小屋を出て行った。私が食事を終わり、花の写真を取るためにカメラだけを持って外に出る。
 先ずは、小屋前の小高い丘状の高みに登ってみた。ここでキバナノアマナを見たことがあるからだ。しかし、見付かったのはヒロハアマナだけ。空振りに終わった。
 次に、キクザキイチゲの咲く場所に行くと、彼もいた。私が薄いブルーのかかったキクザキイチゲを見付け、写真を撮っていると、人の気配を感じた。てっきり、先ほどの彼だと思って、場所を代わるために振り向くと、別の登山者であった。そのうち、彼もやってきて、この撮影に取り掛かる。私は、彼が見付けた濃いブルーのキクザキイチゲの場所に移動して撮影する。
 こうして撮影を終えて、小屋に戻って一休みしていると、「もう13時過ぎか」と独り言を呟いた彼が、「お先に……」と言い置いて小屋から出て行った。見るともなく窓の外を見ていると、彼が下山とは逆のほうへと去っていくのが見えた。『何処か、自分だけの穴場へ花を見にいったな』と直感したが、反面、私の穴場も教えたので黙っていったというのは考え過ぎだと否定もしていた。
 私は、見てみたいと思っていたミノコバイモやキバナノアマナには出合うことはできなかったが、アズマイチゲという予期せぬ収穫もあったので十分すぎる成果が上がっていると思い直して下山することにする。
 13時5分頃、下山を開始する。
 帰りは、マイクロ(接写)レンズから普通レンズ(200mmズーム)に交換して、往路で見付けた花をこれで撮りながら降りていく。
 4合目まで来て、これから先は花もないことは分かっているので、カメラをザックに仕舞い込んでいると単独の男性が下山してきた。先ほど、小屋で別れた件の彼だった。
 彼の開口一番が、「キバナノアマナを見付けました」であった。咲いているとは思っていなかったので誘わなかったというような弁解であったが、教えたくなかったので別行動を採ったことは明白である。この地方には『花の咲く場所は教えない』ということが美徳であるという風潮というか、卑しき考え方があるが、彼もこの信奉者だったようだ。
 4合目からは今朝ほどと同じように彼と会話を交わしながらの下山となったが、わだかまりを払拭できない私は今朝ほどのようには接することはできなかった。
 こんな精神状態ではあったが、何はともあれ、15時05分、大貝戸登山口の駐車場に帰り着いた。
藤原アズマイチゲ②

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yore4040.blog24.fc2.com/tb.php/951-91d7277d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

丸山(まるやま・650m) «  | BLOG TOP |  » 伊吹山(いぶきやま・1377m)―― 途中撤退 ――

アクセス数

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

登山 (147)
山野草 (417)
雑文 (139)
未分類 (14)
お知らせ (6)
案内 (2)
百名山 (22)
花旅 (75)
旅行 (29)
2014 北の大地花旅 (86)
2016・北海道 (83)
2016・北海道 (0)
2017 北海道 (16)

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する