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2017-11

藤原岳(ふじわらだけ・1140m) - 2015.04.13 Mon

目的の花は見付からず
 4月になってから藤原岳へ登る機会を窺っていた。
 だが、今年は3月のほうが暖かいくらいで、4月は出足から寒の戻りのような寒い日が続いたし、雨の日も多かった。このため、なかなか実行する機会がなく、何時しか中旬になってしまった。こんな折、『11日、12日は晴れ』という天気予報が出た。
 『11日か、12日か』と迷ったが、11日は雨上がりということもあって敬遠、12日に決める。この日は日曜日で、フクジュソウの盛りは過ぎているとはいえ、賑わうのは目に見えているので避けたい気持ちは強かった。しかし、翌週の天気は悪化が見込まれるので、この機を逃すと花も逃してしまう懸念があるために混雑には目をつぶるしかなかった。
 もう1つ、心配事がある。それは駐車場の問題だ。登山口の駐車場は25台くらいしか停まらないので、休日には満車になって停められないことが多いことである。これには早く到着することによって対処することにした。
 4月12日、姫君に見送られて、6時頃、自宅を出発する。
 何時ものように高速道路は使わずに一般道を走っていくが、休日ということもあってスムーズに走ることができ、7時15分頃、西藤原駅(三岐鉄道)前を通過して電器店の横を左折して登山口駐車場へ向かう。すると、前方から3台の車が降ってくるのに遭遇する。この奥には目立ったものとしては駐車場くらいしかないので、これらは駐車場にあぶれて戻ってきたことが直感的に理解できた。でも、ここではUターンができないので、取り敢えず駐車場まで行ってみることにする。到着してみると直感は当たっていて、白線以外の場所にも車が停められているような状態であった。
 仕方なく、ここで車の向きを変えて、西藤原小学校近くの観光駐車場を目指す。この駐車場は有料、市営の施設で、50台内外の車を収容するほか、トイレ施設も完備している。この駐車場も既に多くの車で埋まっていて、駐車余地は10台くらいだった。
 この観光駐車場から登山口までは徒歩で10分くらいを要するので、この分、出発前から損をしたというか、ハンディを背負わされることになった。
 もう1つ、気に食わないことがあった。天気予報に反して、天気が思わしくないことだ。『晴れ』という予報を信じて疑わなかったが、現実はどんよりとした曇り空で、気温も高くはなかった。このため、喜び勇んで歩き始めるような気分ではなかったが、引き返す気は起こらず、そのまま、登山口へ向かう。
 7時40分、登山口となっている神武神社の鳥居をくぐって登山道へ足を踏み入れる。
 この登山道は、大貝戸道、あるいは表登山道と呼ばれている。前者の由来は登山口のある集落の名前が『大貝戸』であることからだと推定され、後者は藤原岳への登山道として最も代表的な道であることを表している。
①
 登山口の標高は160m内外であることからすると、1140mの頂上まではおよそ1000mの高度差があるので、結構、厳しい登山道だといえるが、実際に歩いてみると8合目までは西之貝戸川の左岸側を付かず離れずなだらかに登っていく道が作られているので、これだけの高度差を登ったとは思えないというのが率直な感想だ。
 登山口から2合目への道は、神社の境内を通り抜けて西之貝戸川左岸にぶつかると、ここからは昔からの登山道に合流、樹林の中の堀割道をなだらかに登っていく。その後、一瞬だが樹林が途切れて右手の視界が開けてきた所が2合目である。
 前回、この藤原岳から派生する孫太尾根で出会った登山者から『2合目でミノコバイモを見た』という情報を仕入れていたので、本日はこの確認と、そろそろ咲き始めているだろうと思われるキクザキイチゲとの出合いが主たる目的であった。
 このため、2合目では、数年前、この花が咲いていた場所を中心に丁寧に探してみるが見付けることはできなかった。こうなると、本日、姫君が同道していないことが悔やまれた。何時もは3対1、いや4対1くらいの確率で姫君が多く見付ける。このため、姫君が見付け、私が撮るという役割分担になっているのだが、主役の姫君がいないのでは話にならないのが当然といえば当然であったのかもしれない。
 2合目からは雑木林になるので、これまでよりは今の時期は明るいので気持ちが良いのだが、こんなことは長くは続かず、再び、杉の植林の中へと入っていく。3合目の辺りまで来ると、身体は熱を帯びてくるので体温調整のためにスポーツシャツを脱いで半袖のTシャツ1枚になる。
 4合目にやってきた。ハッキリとした時間は計っていないので正確なことは言えないが、登山口から50分くらいかかった勘定だったとの記憶である。この4合目は休憩スポットともいえる場所で、このときも3組ばかりが休んでいた。私もひと休みしようと倒木に跨ってザックの中からお茶を取り出して喉(のど)を潤す。休憩するといっても1人では話しをする相手もおらず、手持無沙汰である。このため、休憩はすぐさま切り上げてザックを担ぎ上げる。
 ここを過ぎると花が出始めるので、足元に注意を払いながら歩いていく。最初に見付かったのはスミレ、正確にはタチツボスミレである。このスミレから、この先にニシキゴロモが咲いていたことを連想、昨年、写真を撮った場所を注意深く探すが、濃紺の姿はなかった。
 5合目を過ぎた所で、ニシキゴロモを初めて目にする。ところが、これが小さくて貧弱な株で被写体には不向きなで、見付けても嬉しくもなかった。むしろ、『ひょっとすると今年は花の咲くのが遅いかもしれない』という不吉な予兆のようなものを感じ、天気同様に気分は曇ってきた。
②
 登山道が鋭角に左折していた。これまでの雑木林からここからは再び杉の植林となって様子が一変する。また、ここで登山道は直進する道と右手へ曲がる道に二分する。前者が正規の道で6合目に至るのである。後者は短縮ルートで、6合目を通らずに7合目に通じている。短縮分だけ、勾配がきつくなるので運動量としては変わらないのだろうが、何時も短縮道を歩いているので、自然に足がそちらの方に向かう。
 短縮道を少し歩いていると後から2人組が追い付いてきた。彼らに道を譲り、言葉を交わす。母と息子で、息子のほうは小学3年生だという。ちなみに、母親のほうは『山岳パトロール』という腕章をザックに付けていた。
 7合目の辺りは植林の中で花には期待薄のように感じるが、ヒトリシズカとかミヤマカタバミなどが咲く。ミヤマカタバミは探すまでのこともなく、数多くが認められたが、天気に敏感な花なので何れも固く花びらを閉じていた。ヒトリシズカに至っては花びらを閉じる、開くという問題以前、影も形も見ることはなかった。
 間もなく8合目に到着するが、ここでも数組が休憩していた。
 私もザックを降ろして広場の右手にある標高点833mのピークへ登ってみた。ここにはカタクリが咲いていたこともあったし、ミノコバイモの咲いている年もあったから、これを知ってからは何時も立ち寄るようにしている。だが、そんな幸運に恵まれるのは何時もあるという訳ではない。今回は何もなく、ガッカリして広場に戻るが、ここで休んだ目的はこれで果たされたので、直ぐにザックを担ぎ上げた。
 ここからは植林ではなく、雑木林が頂上まで続いている。この中を縫うように登山道が設けられている。ここからいろいろな花が咲くのだが、今年はまだ少しその時期には早いようだ。咲いているのはフクジュソウだけである。それも残滓といっても過言ではない、小野小町を思い起こすような情けないものが多く、老いさらばえた自分自身を見るようでもあった。
 9合目を過ぎると岩道の急登に変わってくる。急だといっても、そこは昔からの登山道である。身体にかかる負担が軽くなるように大きくジグザグに切る道が作られているので、急がなければこれまでと同じようなものである。
 10合目の小屋に到着する。ハッキリした時間は分からないが、10時頃だったと思う。1年ぶりにきたここも様変わりしていた。小屋の前というか、少し下に真新しいトイレが作られていた。周囲にはロープが張られて入ることはできなかったが、近々、使用することが可能になるものと推定される。これまであったトイレは人間が使うような代物ではなかったので、ここもやっと花の百名山らしくなったといえる。
③
 これを横目に見ながら、すぐさまザックを降ろして周辺を探索して回ってみるが、収穫は何もなく、これには大いに落胆した。これでは手ぶらで帰らなくてはならない。ならば、せめて頂上くらいは踏んでおこうと、頂上と見做されている標高1140mの『展望の丘』へ行くことにする。
 10時30分、頂上に到着する。とはいっても、ガスが出ていて殆ど何も見えない頂上であったが、私としては風景を楽しむという趣味の持ち合わせはなく、別に落胆もしなかった。
 時間は少し早かったが、昼食というかオヤツを口に入れることにする。
 ここでパンを食べていて、隣で休んでいた人と話をすると、彼は孫太尾根からきたという。この話を聞いて、孫太尾根で降りる誘惑に駆られる。これで困るのは、大貝戸の登山口と新町の下山口を繋ぐ方法である。こういう場合、前もって分かっているのなら、①どちらかへ置き車する、②どちらかへ自転車ないしオートバイを置いておくという方法が一般的である。私も、①、②の何れも試みたことがあったが、このうち自転車ではどちらへおいても最初は降りでよいのだが、ゴールはどちらも登りとなるので大変な思いをした。これに対して、第3の方法もある。西藤原駅と伊勢治田(いせはった)駅との間を電車で繋ぐという方法である。この方法も、1度、試みたことはあったが、途中で出会った人が車で送ってくれたので、実際には試すことはなかった。
 このような前知識があったので、第3の方法で車の停めてある西藤原の観光駐車場まで戻ることを簡単に選択できた。
 こうして、頂上には10分か、15分いただけで孫太尾根から下山するべく歩き始めた。
 孫太尾根へ行くには頂上台地から南へ進むと、この尾根の下降点に達する。ここから岩場を150mばかり一気に下る、もっと正確にいうと、最初の100mは岩場、残りの50mは雑木林の中の急降下である。問題は後者であった。雨上がりというより、雪解け間際というのだろうか、下が滑り易いのが堪えた。特に、長靴を履いている身としては足元が頼りないので、必然的に手で身体を支えなければならず、立木、枝などの手に触れられるものは何でも掴んで転倒を防止しながら、必死で下り終えることができた。
 無事に鞍部に降り立ち、ホッとしたのも束の間、今度は多志田山へ向かっての登りである。とはいえ、ここは登っていけばよく、先ほどのような気を使う必要はないので、こちらのほうが楽だともいえる。
④
 多志田山の頂上に立った。ここからの降りであるが、記憶としては登りのそれしかない。その記憶は道も何もない中、とにかく真っ直ぐ上に向かって遮二無二になって登り上がったことだけを覚えている。こういう広い斜面を登る場合、人はてんでバラバラに登るので踏み跡は拡散、不鮮明だろうことは容易に考えることができたが、現実はまさにそれで人の踏み跡か、獣道かが判然としないような状態であった。こんな道を感だけを頼りに降りて行くが、そのうちに先のほうが急に落ちていることが分かって間違えたのかとの疑問が頭の中を渦巻いた。
 この急斜面を降りるのはよいが、間違いだったら登り返さなければならない。この労力を考えると、1度、多志田山まで戻ったほうが賢明だと思えてきた。
 さて、登り返す段になって大変さを再認識させられた。頂上から50mくらい降りているので、これだけを登り返す必要がある。高が50m、されど50mである。体力の落ちた私の今ではこの登りは大変だった。
 必死になって登り、ひと息、入れて何気なく左手を見たとき、その先に尾根があるように見える。確かめようと目を凝らすが、ガスが邪魔をして判然としない。もし、これが孫太尾根ならここへ向かってトラバースすれば登り上がるより体力の消耗は少なくて済む。でも、間違っていれば、これまた、2重の負担になる。結局、愚直に登り返す方法を選び、ひたすら足を動かすことに専念する。
 頂上の一角で、平らになった場所まで戻った。このとき、前方から1人の登山者がやってきた。近付いて顔を見ると、先ほど、頂上で出会った三重県の男性だった。
 この先、彼に付いていくことにした。すると、途中から右手のほうへ方向を変える。そこには消そうにも消せないほどのシッカリとした踏み跡が付いていた。先ほどの悪魔のささやきのとおり、左手へトラバースしたらこのハッキリとした踏み跡にぶつかるはずだった。でも、これはあくまで結果論で、『間違えたら戻れ』の鉄則どおりの行動が正解であったと、内心、思った。こういうとき、姫君が同道していればこのようなことは起こらなかったであろうが、踏み跡にあまり拘泥しない私の弱点が表面化した事件であると反省した。
 この先は痩せ尾根になるので、道間違いを心配するようなことはなく、草木を通過する。
 草木から丸山の間は花の道であった。ミノコバイモが4つ、5つあったほか、ミヤマカタバミ、ヒトリシズカ、ニリンソウなど、これまでに見なかった花が顔を見せ、この他、前回に対面しているヒロハアマナやミスミソウなども盛りは過ぎてはいるが、まだ多くが残っていた。
 丸山を過ぎてからも、ヒメウズ、カテンソウなど極小の花々も健在な姿を見せてくれ、大貝戸道の不振を見事に挽回してくれた。
 14時20分、孫太尾根の登山口に帰り着く。何時もなら、これでメデタシ、メデタシであるのだが、本日は藤原町まで帰らなければならないので、取り敢えず『伊勢治田駅』まで歩く必要がある。長時間、山歩きを終えただけに、これから駅までの40分の歩きはきつかった。
 15時、やっとのことで駅に到着すると、次の電車まで42分待ちだとのことだった。ここから最終の西藤原駅までの電車の所要時間は10分であるのに、その4倍の時間を待たなくてはならない。何とも間尺に合わないと思うが、歩く元気もないのでいたしかたなかった。
 こうして次の電車に乗って西藤原駅に到着して、ヤレヤレであった。駅から駐車場まで10分、16時にそこに帰り着き、長い、長い藤原岳行きに終止符を打つことができた。
頂上

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