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千種街道を歩く - 2013.04.29 Mon

花には少し早かった
 この時期になると毎年のように朝明(あさけ)から雨乞岳に登っていた。
 このルートは長いので昼間の時間が長くなったこの時期が相応しいからだ。ちなみに、夏場も日は長いが、この時期は鈴鹿ではヒル(蛭)との闘いという特殊事情があり、これを避けたいとなると必然的に今の時期になる。とはいうものの、体力の衰えが顕著になった数年前からは雨乞岳までは到達できず、途中で引き返すことにしているが……。
 このルートは、昔、三重県から滋賀県へ抜ける主要街道で、ここを三重県側の取り付きの地名を採って千種街道と呼ばれ、今でもこの名が用いられている。また、明治以後に街道に近い複数の場所で鉱山が開発され、この繁栄で多くの人々が、この街道を利用したという歴史の道でもある。
 4月28日、ここを歩くことにした。
 この日は連休2日目、日曜日ということも重なって、ここへも多くの人出が予想できる。このため、駐車場の確保の問題もあるので、私たちとしては異例ともいえる早い時間に自宅を出発した。
 途中、ノロノロと走るパトカーに邪魔された区間を除けば、道路は空いていてスイスイと走ることができた。しかし、時間的にはそれほど短縮できたわけではなく、登山口の朝明まで1時間30分くらいはかかったようだ。
 到着してみると、予想は的中していて広い駐車場はほぼ満車の状態で、普通車が駐車できる部分は僅かの空きがあっただけだった。ちなみに、帰ってきたときには、バスの駐車するスペースの1部も普通車によって占領されていた。
 9時頃、朝明駐車場を出発する。
 上空は真っ青な澄んだ空、所どころに白い雲が僅かに見られる程度で、気象用語でいう快晴という滅多にない好天だ。ただ、少し風があって、これが身体に当たると冷たく感じるので気温は上がっていないようで、歩くには誠に都合がよい天候といえる。
 登山口からしばらくは舗装された一般道を朝明渓谷に沿って、その上流へと歩いて行く。見た目には何でもない道だが、この見た目には分からない登り勾配も歩き始めには堪えるので、最初の内はともかく、次第にボディブローのように効いてくる。私たちの前を歩いていた登山者たちの歩みが遅くなってきたのか、彼らの背中が段々と大きくなって並ぶ。こんなことが2組ばかり続くと、そこはは対岸の伊勢谷小屋へ通じる橋がかかっていた。
 今の登山道は、この橋を渡って伊勢谷小屋の脇をグルッと回り込むように付け変えられているので、これに従う。
 この樹林の中の道を進んでいくと、急に樹林が途絶えて明るい場所に飛び出す。ここが数年前の大雨で土砂崩れを起こした場所で、今では植林が施されて修復が施されているものの、まだ、これが苗木の状態から脱せず、荒涼とした感じである。
 ここで以前は伊勢谷を徒渉して右岸に渡っていたが、この災害を境に登山道は左岸に付け変えられている・このため、私たちも徒渉せずに新しい道へと入っていく。このとき、伊勢谷を覗いてみると、谷はえぐり取られて下の方へ水位が下がっていて、徒渉は困難になっていた。昨年、ここを通ったときにはコンクリート床が健在で徒渉しようと思えば簡単に徒渉できた。ということは、これが昨年の大雨で壊れて、谷底が削り取られて低くなったと考えられ、毎年のように地形が変わっていることに驚かされる。
 左岸沿いの道を歩いて行くと、やがて旧道に合流して、ここからしばらくは伊勢谷から離れる。完全に離れるわけではなく、この谷を守る堰堤2、3個を高巻くためにこのようになっている。
 この登山道は、この堰堤を造成するための工事用道路として建設されたものでコンクリート舗装されていたが、この工事完了後は壊れるに任せているため、現在では残存しているコンクリート部分はごく僅かに過ぎず、ここが立派な道路であったことを知る人は少なくなっている。
 こんなコンクリートの欠けらか、自然の岩の塊か区別のつかないというより、これらが入り混じったガタガタ道を歩いて行くと、堰堤を登り上がって伊勢谷の中へと入っていく。
 ここで伊勢谷を徒渉して右岸へ渡るのだが、最初の頃、左岸の樹林の中へ入り込むと道がなくなって右往左往したことがある。今は、細い木を束ねた丸太橋が目に付くので、その方向へ進めば徒渉することが自ずと分かるようになっている。このため、ここで私の犯した過ちを繰り返す人はいないだろう。
 こうして右岸を歩いて堰堤を2つばかり越えると、目の前に大堰堤が行く手を阻んでいる。この堰堤の上から僅かばかりの水が流れ落ちていたが、これはこのところずっと雨が降っていないからであって、雨後には堰堤の幅いっぱいに水が流れ落ちていることがある。
 ここで左岸に渡り返すのだが、こんな場所なので、以前、木橋が架けられていた。橋といっても本格的のものではなく、先ほどと同様の細い丸太を2、3本合わせて留め繋いだものだが……。だが、目の前に橋はない。どうも流されてしまったようだ。だが、本日は水量も少ないので、何処でも簡単に渡ることができるので助かった。
 この大堰堤が伊勢谷にかかる最後のものというか、伊勢谷の堰堤はここから始まるというか分からないが、これより上流には人工の建造物はない。したがって、堰堤建設用に造られた道路もここで終わる。このため、ここからの道は、人が歩くだけの道ということになる。
 この辺りも3、4年前の集中豪雨で谷が崩壊したことにより、旧登山道も消滅したため、新しい登山道が作られている。
 こんな新しい登山道をしばらく歩くと、道は伊勢谷から離れて急斜面を登って行くようになる。これからが旧道ということになるが、これも一部が階段付きのものに付け変えられているので、私たちにとっては新しい道のように感じられる。
 新しいといえば、この階段道を過ぎると笹の中の道になっていたものが、笹枯れによってこれが全滅して、ここに笹が茂っていたこと示す痕跡すらのこっていないので、景色としても新鮮な感じがする。
 こんな道を進んでいくと、ブナ清水分岐の標識の場所にやってきた。ここでは何処かの子供会とおぼしき親子連れの大きなグループが休んでいた。その子供に「何処へ行くの?」と尋ねると、付添いの父親が「えーと、えーと……」と行き先が口に出なかった。ブナ清水へ行く予定だったらしいが、リーダーだけが行き先を知っていて、その他は付き添いといえど行き先についてはどんな所か知らないようだ。団体行動というと、こんな状態が多いが、私たちがツアー旅行に参加すればこれと50歩100歩なので笑うことはできない。
 先に述べたように、ここには笹はまったくないし、木々の枝にも若葉は芽吹いておらず、見通しはすこぶるよい。このため、前方の稜線は丸見え、その上には青空さえもシッカリと見てとれる。その稜線が根ノ平峠なので、第1目標は目の前だ。これまでの急登で身体が少し汗ばんできているので、峠で上着1枚を脱ぎたいと考えながら歩いていた。
 根ノ平峠に到着した。時刻は10時を少し回っており、朝明の駐車場から1時間10分ほどできたことになる。ここまで登ってくると、足は借りてきた足のようだが、ともかく痛みもなく普通に歩いてこれたことは嬉しい。
 ここでは比較的に強い風が吹いていて、長袖のシャツを通して冷たさを感じる。ここに着いたら長袖の上着1枚を脱ごうと思っていたが、これでは脱げば寒いのが分かるので、これを止めてお茶だけを飲むことにする。
 お茶を飲み終えると、姫君が下ろしたばかりのザックを担ぎ上げ、「休んでいると寒くなるので歩くわよ」と申され、これで休憩は自然に終わりになる。
 この根ノ平峠が三重県と滋賀県を分けているので、これから先は滋賀県へ入ることになる。
 愛知川(えちがわ)へ向かって緩やかに降っていくと、この支流にあたる小さい谷、タケ谷と交わる。これを渡り、以後、この谷に沿って降っていく。この辺りは、以前、背の高い笹に覆われていて歩く場所というと限られていて、人、1人が歩ける踏み跡があっただけで、それも水路と化すことが多かったので、大変、歩き難かった。だが、笹のなくなった今は何処でも歩くことが可能になったため、これまで歩かなかった歩き易い場所に踏み跡が付いているので、これを辿っていく。
 前方に猫が横たわったような形の巨岩が見えてきた。これを目印に左折して行くのだが、ここから上水晶谷までの地形が複雑で説明がし難い。改めて、地形図を見てみても、こんな道がどうして作られたか余計に疑問を強くしただけだ。
 私が思うに、先ほどの三叉路から、この部分は昔の千種街道ではない。昔のそれは、根ノ平峠からタケ谷沿いに愛知川まで降り、これを渡って同川の左岸を遡り、中峠を越えて行く道だったと考えている。
 これはさておき、踏み跡を辿り、小さなアップダウンをこなしていくと、谷川の音が聞こえてくるようになり、目の前に比較的大きな谷が姿を現してきた。これが上水晶谷といい、御在所岳東側と国見岳西側の雨水を集めて愛知川へと流している。
 これを徒渉すると、御在所岳の山域に入る。
 ここから先は、御在所岳の山裾をグルッと愛知川に沿って遡っていくのだが、穏やかな良い道が続いている。
 そして、次に愛知川に流れ込んでいる谷がコクイ谷だ。
 以前は、コクイ谷が愛知川に注ぎ込む場所、コクイ谷出合を徒渉していたが、今ではこの直前に愛知川を徒渉して行く道が専ら使用され、ここにはチャチャなものではあるが丸太橋も架けられている。ちなみに、昨年はこの道に気付かず、従来どおりに往路はコクイ谷を渡ったが、復路では自然にこの新しい道に誘導されて初めてこれを知ったという経緯がある。
 この先で、再び、愛知川を渡り返して昔からの道に戻ることになり、これを忠実に辿っていく。なお、コクイ谷が合流する地点から下流の川の名前が愛知川で、これより上流は神崎川と呼ばれているので、ここでは神崎川というのが正確だ。ちなみに、川が大きな支流と合流すると、これを境として名前が変わることが多い。
 ここまで遡ってくると、川の水も随分と綺麗になってくる。これだけ透き通った水を見ていると、谷に下りて手ですくい取ってみたいという衝動に駆られるが、ここから水面まで相当な距離があることが分かって慌ててこの誘惑を振り払う。
 この辺りには何時も背の高い赤いショウジョウバカマが咲いているが、まだ見かけない。そういえば、ここへ来るまで花はないかと目を皿のようにしてきたが、見かける花はスミレの仲間ばかりで、これ以外ではニシキゴロモ2、3株を見かけたくらいと、花の収穫は皆無といってよく、あて外れもいいところだった。
 道は神崎川を見下ろす位置から段々と高度を下げて谷の岸まで降りてきた。ここで左岸へ徒渉となる。
 この場所が前述の中峠から降ってくる道との合流点であり、ここから先は旧の千種街道を辿ることになる。
 この先、大登りが待ちかまえていた。目の上に見える尾根へ向かってジグザグ道が付いていた。この頃になると足へ溜まる疲労も大きくなっていて、1歩足を進めるにも、頭から命令を下さないと足が反乱をおこすようになっていた。これは私だけではないようだった。「♫ えんやこらせ、どっこいせ」と、突然、姫君が節を付けて小さな声で口ずさみ始めた。きつかったのは私だけではなかったのだ。姫君も足に来ていることが分かったので、それに合わせて大きな声で唱和したが、私は生来の音痴、どうも調子が外れるようで姫君の声は聞こえなくなっていた。
 この斜面を登り上がった場所が尾根の上で、今、地形図から標高を算出すると850mであった。この先、この尾根を乗り越しての降りが始まっているので、ここが頂上のようでもある。このとき、時刻は正午の少し前、キリもいいし、身体というより足が限界に近付いているので、ここで前進を止めて帰ることに決めて昼食にする。
 この場所は、高昌鉱山へ行く分岐にもなっている。以前は道も付いていて、私も2度ばかりここを尋ねたことがある。今日、時間もあることだし、ここへ行ってもいいと思って姫君に水を向けると、「いやよ、あんな怖い所いきたくないわ」と拒否された。余談ながら、高昌鉱山跡までは怖くもなんともないが、この先がいけなかった。道のない所に踏み込み、イブネ北端から中峠へ至る尾根を知らずして通り越して散々な目に遭いながら上水晶谷出合とタケ谷出合の中間辺りに降りたときの記憶が強く残っているためだと思われる。
 食事後、素直に下山することになる。下山といっても往路を忠実に引き返すだけである。
 下山中、何人もの登山者に出会う。彼らの荷物が大きいのでキャンプをするということは分かるが、何処に泊まるのだろうと思って尋ねてみると、一様にイブネの頂上だとのことだ。昨夜、ここにテントを張ったのは5組ほどいたとのことなので、ここに泊まることが隠れたブームになっているらしい。
 こうして、14時45分、朝明の駐車場に帰り着いたが、足は弱ってはいるという自覚はあるが、それでも6時間近く異常なく歩き通せたことはそれなりの自信に繋がり、夏のアルプス行きも視野に入れても良さそうな嬉しい感触を得た。

シハイスミレ

● COMMENT ●

6時間も歩いてこられたのですね。もうリハビリも完了でしょう。
朝明の駐車場が満車でしたか。
私は昨年5月5日だと思いますが、武平峠から雨乞岳へ行きました。
そのときも武平峠に至る駐車スペースはあらかた埋まっていたのを思い出しました。
季節もいいし、みなさん出かけたくなる気持ちもわかりますね。

 モタさん、こんばんは。
 朝明はモタさんと初めてお会いした場所で、思い出の地でもあります。
 だが、ここは駐車場が有料なので貧乏人の身では近寄りがたく、訪れるのは余ほどの目的があるときだけに限られます。
 お気づかいいただき、ありがとうございます。足のほうは痛みはなくなってきてホッとしております。でも、疲れると足がドンと重くなってきます。ちょうど、酒を飲んで歩くと足が異常に重く感ずるのと同じ現象です。以前では考えられなかったことなので、足の衰えだと理解しております。
 今年は花の狙いは概ね的中させているが、ここに限っては空振りに終わり、もう1度、出かけなくてはなりません。
 余談ながら、武平峠の駐車場が満車のときは滋賀県側へ少し降ると、比較的大きなパーキングがあり、ここは空いていることが多いように感じます。


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