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2017-10

入道ヶ岳のフクジュソウ - 2013.03.22 Fri

ようやく見付けるが……
 岳友からトウゴクサバノオの写真付きのメールが送られてきた。
 もう、この花が咲いているのかと驚いたが、桜の開花も例年より1週間も早いという今年なので、『さも、ありなん』と納得する。
 メールの主は鈴鹿在住者なので、このトウゴクサバノオは入道ヶ岳のものだろうと見当を付ける。
 当然のことながら私も見てみたいので、21日に出かけることにした。
 ちなみに、この日、姫君は所要があって家を空けられないので、久しぶりに単身での山行きとなる。
 12時前に登山口に着いた。
 天気は晴れで申し分ないが、気温が低く、風も冷たい。このため、フリースの上着を余分に羽織っての出発となった。
 そして、目的の場所に着いてみると、花など咲いているような雰囲気ではなく、直ぐに、彼のトウゴクサバノオはここのものではないことに気付かされた。でも、遠路はるばる、折角、ここまでやってきたのだから手ぶらでは帰れないと思って、丹念に探してみるが、トウゴクサバノオはもちろんのこと、他の花も皆無という悲しい状態であることを再確認したに過ぎなかった。
 ここで昼食を摂ることも考えたが、いささか身にしみる冷たい風が吹いているので、これを諦めて駐車場まで戻り、車の中でこれを済ます。
 『さて、これからどうしよう……?』と、思案の結果、別ルートで入道ヶ岳に途中まで登り、フクジュソウを探すことにする。
 フクジュソウが咲くのは、鈴鹿では藤原岳や霊仙山のみだと思っていたところ、入道ヶ岳でも咲くことをネットで知る。
 『1度、見てみたいな』と思っていたら、一昨年だったか、その前年だったか記憶が審らかでないが、この山を降っていて偶然に見付け出すことができた。それは、メーンルートから数メートル離れた涸れた谷の中にあった。ネットでは、単独で咲くのではなく、散らばって咲いているとのことで写真も付けられていた。このため、この近くに群生地があると推定できた。
 本日はこれを探すことにする。
 車を登山口に回すが、駐車場には1台の車も停まっていない。ここはメーンルートのはずで、いかに平日とはいえ、何とも理解に苦しむ。
 最初に谷を渡り、次に尾根へとり付く。ここから尾根の急な登りが始まる。しばらくすると、脹脛(ふくらはぎ)への負担がグイグイとかかり、軽い痛みを感じる。膝も悲鳴を上げ始め、足を動かすたびに痛みのコラボレーションが始まる。とはいえ、辛抱できる痛みであり、中断するとか、休憩しなくてはならないほどではない。したがって、出来るだけ痛みを感じないように騙しだまし足を使いながら登っていく。
 井戸谷ルートは、5、6本ある入道ヶ岳への登山ルートの中にあっても最も楽に登ることができる初心者ルートでもある。これまで何度となく登っているが、このように苦戦したことはない。それが本日の私にとっては、ここが初級ルートではなく、正に上級ルート。この勾配もこれまでに味わったことのない急なもののように感じられた。
 間もなく、道は尾根から離れて右手の谷の中へ入っていく。この谷が井戸谷というのだろう。
 谷へ降りる間、谷の中を歩く間は痛みも感じることなく、楽ができたが、こんなことは長くは続かなかった。今度は谷の左岸に渡ると、また、急登が待ち構えていた。
 この登山道には迷い道番号が付けられていて、道に迷った際、この番号を通報するようになっている。もっとも、この番号標識が立っている場所、またはその圏内にいるのなら道迷いにはならないので、これは事故が起きたときの通報のためのものと理解するのが常識的だが……。なお、この登山道が携帯電話の通話圏であるか否かは、この日、電話を持っていかなかったので試していない。
 4番の標識を過ぎると、道は谷から大きく離れ、巻くように付けられている。そして、この道が、再び、谷に沿うようになった辺りに、前回、フクジュソウが咲いていた。この辺りにやってきたので注意深く探してみるが、黄色は何処にも見当たらない。
 道迷い番号5番の標識を過ぎたが、結果は同じであった。さらに捜索圏を拡大して同6番まで行くことにする。
 道迷い番号6番に近付くと、入道ヶ岳の稜線を見上げる形でその存在を確認できるようになり、だいぶ高度を上げたことが実感できる。それもそのはず、6番の標識には誰が書き入れたか780mというマジックペンの文字がみられ、ここが標高780m地点らしい。ちなみに、入道ヶ岳は標高906m。
 ネットの写真を思い出すと、フクジュソウの群生地はかなりの急斜面にへばりつくように咲いている感じである。
 6番標識から先、樹林帯を抜けるまでは、これまでより勾配は緩やかになるため、写真で見たような地形の場所はないはずである。ということは、フクジュソウの群生地は登山道沿いにはなく、何処か別の方向へ入り込んだ所だということになる。藤原岳の木和田尾ルートのフクジュソウが、この登山道脇ではないのと同じと気が付き、これ以上、前進しても意味のないことが分かって引き返すことにする。
 でも、収穫なし、ボウズで帰るのは潔しとしないが、ないものはいたしかたない。『たまにはこんなこともある』と、自分自身を無理に納得させて降り始める。
 登りに比べると降りは脹脛に負担をかけないので楽である。こうなると膝も痛むことはない。ということは、脹脛を庇う歩きが膝へ変な力をかけていることに気付く。すると、脹脛の痛みを取り去らないと、数年前のように膝を痛めかねないという新たな懸念が湧き上がってくる。このことからみても、人生の晩年を何故に末期高齢者と呼称されるか、その意味が何となく分かるような気がしてくる。
 こんなことを考えて歩いていると、前回のフクジュソウが咲いていた場所へやってくる。今度は前回同様、涸れた浅い谷の中に入って行き、『夢よ、もう1度』と目を見開くも、結果が変わることはなかった。
 落胆して顔を上げると、一瞬、眼の中に黄色の点が飛び込み、消えた。『あれっ?』と、本日、初めての色に戸惑い、再び、それを探す。しばらく、その辺りに視線を巡らすが、なかなか、その黄色い点が捉えることができない。
 こんなことを2度、3度。そして、再び、黄色を捉えた。
 今度は躊躇することなく、黄色を目に捉えたまま、その方向へと真っ直ぐに進む。何せ、そこは小さい岩がゴロゴロしていて足場が悪い。黄色を目に止めたままで歩くことはできない。足元へ視線を落とし、再び視線を上げても黄色は何処かへ行ってしまう。少し進んで、『この辺りだろう』と、足元に視線を落とすと、あった、確かにフクジュソウが咲いていた。早速、ザックを地面におろして中からカメラと三脚を取り出す。
 ファインダーを覗くと、あまり上物とはいえなかったが、8分加減に開いたややとう(薹)が立ったものではあったが、りっぱにフクジュソウ。
 こうして曲がりなりにもフクジュソウに出合え、先ほどの落胆とはうって変わっての上機嫌で降り始めたのはいうまでもない。
 こうして降っていると単独行の女性に出会った。彼女は、森のトトロさん。――というより、私が何時も参考にしている『鈴鹿の山で見られる花』の発行人と紹介したほうがとおりが良いかもしれない。
 以後、彼女と一緒に話をしながら降ったが、フクジュソウの群生地はやはり登山道から入った場所にあるとのことだった。ただし、今年は既に花は終わったとの由。でも、来年の楽しみが1つできたことになり、これに備えても足を早く直さねばと改めて思った。
 ちなみに、『鈴鹿の山で見られる花』の続編ともいえる花図鑑の編集を終わった段階で、来月、遅くなっても5月には発売予定とのことだった。

入道ヶ岳に咲くフクジュソウ

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