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2017-11

相撲の立ち合い - 2012.01.23 Mon

 大相撲の初場所は、昨日の千秋楽で幕を閉じた。
 14日目まで白星を並べて既に優勝を決めていた大関・把瑠都(ばると)の全勝はならなかったが、来場所、綱取り場所となって新横綱の誕生への期待も高く、早くもその結果が注目されることになった。
 だが、把瑠都の12日目の相撲内容について一部では非難の声が高まっている。
 1月20日付の朝日新聞16面(スポーツ)で、原田亜紀夫記者が『東西ト―ザイ』というコラムで把瑠都を声高に非難している。返す刀で、同じく12日目の大関・日馬富士(はるまふじ)の相撲もバッサリと斬り捨てている。
 原田記者が怒るのは、立ち合いでの変化である。
 把瑠都も日馬富士も立ち合い時に横に飛んで、相手と直接ぶつかりあうことを避けた。この意表を突く作戦、いわゆる注文相撲が非難の的にされているのだ。
 非難の対象にされた両者ともにルールに違反を犯したわけではなく、自分でじっくりと考えた作戦か、その場の雰囲気でとっさに身体が反応した結果なのかは分からないが、正当な方法で相撲を取って勝ったのだから褒められこそすれ、非難される筋合いのものではないことは明らかである。
 それをあえて非難するのだから歯切れの悪くなるのは致し方ない。
 非難するからには、その根拠を自分の考えならびに言葉を使用して行うのが当たり前だと思うが、このコラムでは、桟敷席から「帰れ」コールが起こったとか、放駒理事長が「注目の相撲があれじゃあ、お客さんも興ざめなんじゃないの」と嘆いた……と、他人の言葉を借りての批判を展開している。加えて、本日の野村周平記者による『東西ト―ザイ』にいたっては「(把瑠都が)横綱を狙う資格はない。品格がなさすぎる」と横綱審議委員会の鶴田委員長が酷評したと追い打ち、これまた他人の口を借りての批判をエスカレートさせている。
 ここで、立ち合いの変化について考えてみた。
 相撲というスポーツというか、競技は、丸い土俵の外へ相手を出すか、土俵の上に足の裏以外の身体の一部分を付けさすかで勝負が決まる。勝ち負けの決まりはこれだけで、身体の大小差は、一切、考慮されることはない。
 普通なら体力に勝る者が一方的に勝ち、劣る者が一方的に負けても良さそうなものであるが、これがこうならないので、見る者をして熱中させることになり、これが相撲の人気に繋がっている。
 では、どうしてこのようになるのだろうか。土俵の上(中)では、一体どういう攻防が展開されているのであろうか。
 私は、バランスの崩し合いが行われているのだと思う。バランスを崩された側が、相手の力に自分の力を加えることによって、土俵の外に出されたり、土俵の上に這いつくばわされたりするのだと考える。これが、勝つのが大きい力士ばかりではなく、小さい力士も互角に戦える要因となっているのだろう。
 このように考えると、土俵の上では駆け引きが横行している、いや、駆け引きだらけで成り立っているといえよう。この駆け引きを卑怯なものだと決めつければ、相撲という競技は成り立たなくなる。立ち合いの変化も、この駆け引きの中の1つで、肯定してしかるべき技であろう。また、こうであるからこそ、立ち合いの変化が、反則行為に指定されていない所以(ゆえん)だろう。
 このような相撲であるから、土俵に上がった時点で既に駆け引きは始まっていると考えるのが妥当である。時間いっぱいまで仕切りを繰り返し、立ち上がったときに目の前に相手がいないのにパニックに陥ってバランスを崩して負けるのというのは、どのように考えても負けたほうが愚かであって、勝ったほうを非難する根拠は針の先ほどもない。
 でも、相撲の世界では注文相撲をとった力士は、師匠、親方からこっぴどく怒られるのも、また事実である。しかし、これは何も卑怯な手を使ったことを責められるのではない。立ち合いに変わる、身をかわすというという取り口は、相手に読まれたときには負ける確率が高いために「そんな馬鹿げた相撲を取るな」と教えているのだ。ようするに、立ち合い時に身体を横に移動させた瞬間に自分の体のバランスが崩れて(重心が上に移動して)いるので、相手に変化についてこられたら負け易いからだ。
 相撲の世界は古いしきたりの中で続いている。このため、回りくどく途中を説明せず、「みっともない。立ち合いに変わるな。前に出よ」と結論だけいうので、相撲取り自身も師匠の教えは守っても、意味が分からない者も出てくるのだろう。
 ましてや、一般のファンや新聞記者がこれを理解できなくとも致し方ない。でも、少なくとも後者は批判するからにはもう少し自分で考えて自分なりに答えを出してそれを披歴しても良さそうだと思うが、どんなものだろうか……。

潮岬灯台と群れ飛ぶカモメ

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