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2017-06

山登りと下痢 - 2012.01.19 Thu

 本日は尾籠(びろう)な話で申し訳ないが、私は、幼少のころから胃腸が弱くて下痢をすることが多かった。この結果、失敗の例も多いが、恥ずかしい話でもあり、あまり語ったことはない。
 私が山へ行き始めてからというと、一般では初老と呼ばれる年齢だが、下痢症はいっこうに治る兆しはみえてこなかった。
 下痢というのは、ある程度の兆候というものはあるが、悪化するときは待ったなし、急に襲ってくる。辛抱できる時間が一定しないということもあって、居る場所によっては悲惨なことになり得る。
 あるとき、北アルプスの稜線上を歩いていて急に便意を催した。身を隠す所などまるでない。だが、事は急を要する。仕方がないので、斜面を少し駈け下りて素早く用を足して事なきを得た。この際、登山者が通っては丸見え、恥ずかしい姿をさらすことになる。これを避けるため、姫君ともう1人の同行者に見張り役を務めてもらった。
 また、あるときは中央アルプスの稜線上で同様の事態を招いた。このときは登山道脇の岩場を駈け上ると2つの岩が重なり合った間に空間があって、そこで人に見られる心配なく伸びのびと用を済ませた。そこから降りて岩場をグルッと回ると仙涯嶺の標識が出ていた。ということは、先ほどの場所は、仙涯嶺のてっぺんだったことになる。
 これは急場をしのいだ不幸中の幸いという例だが、こんな都合の良いときばかりとは限らない。
 10年以上も昔の話だが、建国記念日の連休を使って八方尾根から唐松岳を目指したことがあった。最終リフトに乗っているときから真正面からの吹雪の猛攻を受け、これを降りると辺りは真白、要するにホワイトアウト状態。歩く尾根が何処にあるかも分からず、結局、1歩も動けずに八方池山荘の近くでテントを張ることになった。翌朝も相も変らぬ天候だったので、下山を決めてテントを畳み、帰り支度を終えた。このとき、急な便意が……。極寒の時期には身に着けている衣類などが多くて、時間が間に合わず粗相するという最悪の結果に終わった。もちろん、後始末はしたが当然のことながら完璧とはまいらず、臭い御帰還となったことはいうまでもない。
 昨日、奈良県の三峰山(みうねやま)に登った。
 前夜、近くの『道の駅・御杖(みつえ)』に泊まったが、夜中に便意を催し、トイレに行ったので、腹の調子は万全ではなかった。でも、下痢止めの薬も飲んでいるので、大丈夫だと思って歩き始めたのだが、樹林の中を登っていると何だか腹の状態が何時もと異なる。黄色信号であることは確かだが、薬の効用を信じる気持ちのほうが強く、そのうちに治まるだろうと気軽に考えていた。
 間もなく、樹林を抜けて峠に着いた。ここには、トイレ付きの小屋がある。トイレがあるという安心感からか、途端に強い便意に襲われた。たが、私は小屋の中を覗いたことはないので、トイレの場所を探すのに少し時間がかかった。また、アルプス行きのときほどの重装備ではないが、カッパも身に着けているうえに、ズボンをサスペンダーで吊っていたことも悪い方に作用した。便所に駆け込んだときには、『もう駄目だ』と観念した。
 それでも、排便の後始末をして、恐るおそるパンツの中を見たが、そこには何もなく、色も元の生地のまま、真っ白だった。それなら登山ズボンではと仔細に調べるが、異常はなかった。最後にカッパのズボンも同様に視線を走らせたが、これも前の2点と同じであった。念のため、姫君に検査をお願いするが、目視の結果は『異状なし』との御託宣を賜る。
 こうして、この後、登山を続けることができた。
 この騒動では、コンマ何秒の差で天国と地獄の間をさまよった結果が天国となったのだと思う。このように考えると、やはり日頃の善行が幸いしたのだと胸を張った。そして上空を仰ぎ見ると、真っ青な空に金色のまばゆい太陽が輝いていた。

三峰山(奈良県)

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