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2017-06

鳥海山(ちょうかいさん・2236m) - 2011.08.29 Mon

 鳥海山に登るには、鳥海ブルーラインの鉾立から登る象潟口コースが主力のようだが、ガイドブック(日本百名山・山と渓谷社)によると、鳥海高原ラインの終点からのコースが最短のルートだと紹介されていた。
 これは、湯ノ台口コースの途中をショートカットして滝ノ小屋と車道終点の駐車場を繋いでいるとのことだった。
 私たちは、とにかく最短コースなるものに魅力を感じる。したがって、他には目もくれず、このコースで登ることにした。

〈7月28日〉
 同日午後、鳥海高原ラインに着いたが、まだ、時間があり過ぎたので、途中にある『湯ノ台温泉・鳥海山荘』に立ち寄り、食事を摂り、風呂に入る。
 風呂から上がると、外は篠突く雨で身動きが取れない状態であった。仕方なく、ここで暫く時間を潰して、小止みになった頃を見計らって車に乗り込む。
 鳥海山荘で近くの鳥海高原の家族旅行村に湿原があって花にも恵まれているということを鳥海山荘で教えられ、ここを訪れる。
 この家族村には、キャンプ場などがあって家族で休日を過ごすに適した施設が設けられているが、この日は平日のためか、客の姿は殆ど見掛けることはなかった。この最奥に池があって、この周りに木道を巡らせて、周回、散策できるようになっていた。
 早速、カメラを持って木道を歩いてみるが、カキラン以外では格別に変わった花は見かけず、それほどの収穫はなかった。
 この池の周りを半分くらい回ったところで、また、雨が降り出したので、早々に撮影を諦めて車に戻り、鳥海高原ラインの終点にあるという駐車場に向かう。
 この道路は最後まで2車線の舗装道路で、最奥には4、50台の車が停められそうな駐車場があり、入口近くには1階トイレ、2階が休憩室という綺麗な建物があった。

カキラン

〈7月29日〉
 朝、目覚めたとき、外は小雨が降っていた。その後も降ったり、止んだりの繰り返しなので、この日に登ることを諦めることにした。
 こんな天気の日でも、登る人はいて3、4組が登って行ったが、私たちはこれらを横目に見ながら、ご飯を炊いてのんびり朝食を摂る。
 ここで、一日中を過ごすのも退屈なので、酒田の市街地まで遊びに行くことにする。
 そして、帰りに『八森温泉・ゆりんこ』に立ち寄ってから鳥海高原ラインの終点駐車場へ戻って、明日に備える。ちなみに、『ゆりんこ』は、赤みを帯びた湯が特徴のなかなか良い温泉であった。

ニッコウキスゲ

〈7月30日〉
 目覚めて真っ先に空を見上げると、まだ、明けきっていないが天気の良いことが分かる。1日、待って正解だったと喜んだ。
 4時57分、出発する。
 駐車場の出入り口の脇に登山口があり、この正面に大きな看板が立てられていて、それには登山地図があって、要所、要所までの所要時間も書き込まれていた。これによると、大物忌神社(おおものいみじんじゃ)経由の新山頂上までの総所要時間は275分(4時間35分)となっていた。ちなみに、昨夜、ガイドブックから算出した総所要時間は、245分(4時間05分)で、両者の間に30分の開きがあるが、この程度の誤差はよくある話なので気にするほどのことではない。
 登山道を歩き始める。登山道は、樹林の中の細くもなく広くもない登山道としては平均的な道幅があり、加えて人工的に岩が敷き詰められているという歩き易い道で始まった。
 この道が降り始めた。嫌な傾向である。山登りなので、登り勾配の道なら頂上に早く着くが、降りがあれば、何処かで降った分を登り返さなくてはならず、余分な労力を使わなくてはならないので、『楽できる』と一概に歓迎できないのだ。
 暫く降っていくと、この降りの原因が分かった。沢を渡るために、沢まで高度を下げる必要があったのだ。
 この沢には、小さい木の橋(木道状の橋)が架かっていた。ここでは、これまで覆い隠していた頭上の木の枝がなくなり、辺りは急に明るくなってきた。改めて上空を確認すると、白い雲が半分くらいは占めているが、後の半分は綺麗に澄んだ青空で、今日は終日、晴れであることを保証しているかの如くであり、私たちの心も身体も軽くし、姫君とともにこの吉相を喜んだ。
 沢を越えると、滝ノ小屋は直ぐであった。5時16分、この小屋の前を通過した。小屋は2階建てながら小ぢんまりとしたもので、泊まり客といっても20人が精一杯ではないかと推定された。
 小屋の横手で、先ほど渡ったような小さな橋で、沢を渡る。
 ここからは笹の切り開きの道となるが、困ったことが起こった。道が狭い上に、道の両側から笹が倒れ込んできているので、笹に付いた朝露が私たちのズボンに乗り移ってくることだ。端的に言うと、ズボンが露に濡れてグショグショになってしまうので始末が悪い。この登山道はマイナーの位置付けのためか、登山シーズンに入った今でも、草刈りが行われていないのだ。
 こんな道を歩いていると、濡れるのはズボンだけでは収まらず、中の膝を保護するために穿いているタイツまで湿り上がってくる。
 小屋から15分くらい歩くと、3叉路にやってきた。
 ここで、ショートカット道が、正規の湯ノ台口コースに合流する場所でもある。ここには道標が立てられていたので、行き先をシッカリと確かめて、河原宿の方向へと進路を採る。すなわち、右折する。ちなみに、帰り道では、ここで大失敗を犯す。帰り道では左折するところを直進しそうになる。この失敗は、一緒に歩いていた九州の高山さんに指摘で事なきを得たが、私たち2人だけでは、だいぶ経ってから気付いて戻るか、いずれにしても大変な時間をロスするところだった。
 3叉路を過ぎると、登山道は急な登りへと変わってきた。
 この急坂、八丁坂に息を切らせることになるが、そのご褒美もあった。
 道の両側に幾つもの花が顔を見せ始めたことだ。こうなれば、直ぐにカメラを構えたいのだが、時間が早くて光量が不十分であることや、花びらに朝露が溜まっていたりして、撮影するには条件が悪いので、これは帰路に譲るとする。こんな具合に喜びは先に延びたが、花の見られないこれまでに比べると、嬉しい道と化して気が紛れる。これによって急坂を登る身体的な苦しさを和らげてくれるのは、何ともあり難いことであった。
 まもなく、急坂を登り切ったとみえて、平坦な道になってきた。すると、右手から沢音が聞こえてくるのに気付いた。何時の間にやら、沢沿いの道になっていたことが分かったが、水の流れを目にすることはなかった。とある場所で、右手の草叢の途切れた場所があり、ここから一瞬のことながら水辺を垣間見ることができたが、雪解け水のためか、昨日までの降雨のせいかは分からないが、結構な水量で大きな音をたてながら流れていた。
 6時13分、河原宿小屋に到着する。
 この小屋は、先ほどの滝ノ小屋より規模は大きいが、この日は営業しておらず、無人であった。この小屋の裏手にトイレ棟があったので、トイレ休憩を兼ねて、ここで小休止となる。
 休憩の間、先ほど下のほうに小さくみえていた2人の人影のうち、男性が追い抜いて行き、もう1人の女性も追い付いてきた。この女性は、前夜、駐車場で知り合った顔見知りで、これ以後、帰りまで行動を共にした。ちなみに、彼女は、九州の高山さんといい、名古屋にも住んだことがあるとのこともあって話が合った。
 休憩時間は6分。6時19分に歩き始める。

河原宿

 ここは、象潟口コースの御浜小屋への道と頂上へ向かう道との分岐になっている。ここにもシッカリとした道標があり、私たちはこれに従い、右手へと進路を採る。
 ここからは河原状の中の踏み跡を辿っていく。ほどなく、右手は雪渓になるが、ここへ降りることせず、雪渓の左手の雪のない部分の踏み跡を拾い歩きして進んでいく。
 この当たりから天気が変わり始めた。先ほどまで綺麗に先の先まで見えていた雪渓の上には、早朝であるのにかかわらずガスが立ち込めてきた。また、河原宿小屋では、雲1つない青空だった北側、進行方向の空にも雲が湧き出して視界はみるみるうちに遮られてきた。
 なお、この雪渓は下から見ると、『く』の字をしていて、これを下のほうから登っていく形になる。ちょうど、中間地点の折れ曲がった辺りを過ぎると左手の踏み跡は薄くなってしまう。でも、雪渓の先は見えている。そこまで行き着けば登山道が出てくるはずなので、歩き易い場所を探しながら進んでいく。でも、歩き難くなる一方なので、左程、距離が離れていない左手の土手の上を歩くことにして、そちらへと登っていくが、ここにも草が繁茂していた。このため、これをかき分けながらでないと進めない。これでは返って時間がかかることが分かったので、雪渓のほうへ降りていく。
 すると、高山さんが、「雪渓の向こう岸に登山道がある」という。ガイドブックによると、雪渓の左側を進んで行けば雪渓が抜けられるように書かれていたので、向こう岸のことは何も考えていなかったが、これだけ道が薄くなれば、ここが歩かれていないことが分かるので、彼女の言に従ってみようという気が起きていた。「それならば、ここから雪渓を渡ってみよう」というと、すると「先のほうが低くなっているので危なそう」と彼女がいうので、もう暫く、そのまま進むことにした。
 こうして前進を続けていると、雪渓の上を後ろから歩いてくる4名パーティーが目に付いた。このパーティーと最初に接触した高山さんが彼らと会話を交わし、彼らの後を付いて雪渓に降りて歩き始める。そして、数分後、彼らは雪渓を横切り始めた。
 私たちも、彼らの後を追って雪渓を右手へと渡っていく。渡りきった岸辺で休んでいた4名グループは青森から来たという。
 この岸辺の先には、もう1つの雪渓があり、ここはその雪渓の左側の岸辺でもあった。
 この岸辺側にはペンキマークの目印が細かい区間で、点々と付けられており、これを辿って行けば簡単に歩くことができるようになっていた。これに従って、少しの間、雪渓を詰めていくと、この雪渓を先ほどと同じように横切るようになっていた。ここの雪渓は、先ほど、横断した所より幅広だったことや、私はストックを持っていないので、こんな場所では滑り易いことは、先ほどで分かったので、4本歯の軽アイゼンを着けた。ちなみに、姫君は、6本歯のアイゼンを着けた。
 この雪渓を渡ってから、ゾッとした。先ほどの雪渓を詰め切っても、この地形では登山道などあるわけがなかった。何時ものように、そのまま高みに登って行けば良いと行動を起こしていたら、遭難ということも充分に考えられたからだ。
 雪渓を渡り終えると、シッカリした登山道があった。
 暫くは緩やかに登り上がる道だったが、そのうちにジグザグの急勾配の道となってきた。ここが『薊坂』という急坂だ。この薊坂は、先ほどの八丁坂より急であったが、八丁坂同様にお花畑の中の急登ということで、これに気を紛らわせて登ることになる。だが、先ほどとは異なった条件があった。ガスが濃くなり、視界は10mくらいしかなくなり、花自体もガスの影響を受けるようになっていたことだ。

チョウカイフスマ

 8時25分、ようやく、この急坂、薊坂を登り切った。
 この登りきった先は、ここがピークだとは感じないようなピークだが、伏拝岳(ふしおがみだけ・2120m)という名前の付いた外輪山の立派な山の1つでもあった。ということは、この時点で鳥海山の外輪山の一角に立ったことになるが、このとき、前述のように視界は10m内外で何も見えず、そんな到達感はとても抱ける状態ではなかった。
 でも、この後、なだらかな稜線歩きが始まった。これは稜線といえば稜線だが、大昔の火口の縁を歩いているので、一種のお鉢周りともいえることが後になって判明した。
 なお、ここで鳥海山について私の分かる範囲で説明しておく。
 鳥海山は火山で、太古の昔、大噴火した。このとき、出来た噴火口が、現在、歩いている外輪山で、この上には、文殊岳、伏拝岳、行者岳、七高山などが並んでいる。この外輪山は北側に細長い楕円形を形作ったが、現在では北側が崩れて、半楕円形の外輪山という形になっている。先に挙げた名前の付いた頂は、総てが南側の狭い一角に含まれている。
 その後、小噴火が起こり、外輪山の南端に内輪山らしきものを形作ったが、これには顕著な噴火口はなく、代わりに内部に幾つもの頂ができた。
 以前は、外輪山の中の七高山(しちこうさん・2230m)が最も高いと思われていた。このため、七高山を鳥海山の主峰と考えられていて、ここに三角点も埋められていた。
 だが、近年になって内輪山の中の一つの頂が、七高山より6m高いことが分かり、この時点から、ここを新山と呼び、鳥海山の頂上の地位を与えたと考える。ちなみに、これは私見である。
 8時53分、大きなケルンの立つ場所にやってきた。ケルンには文字は読み取れないが木の板もはめ込まれている。ここが七高山だと思い、証拠写真を撮るが、通りかかった登山者に訊くと、ここは頂上ではなく、頂上はさらに先だということが分かる。ちなみに、ここは行者岳(ぎょうじゃだけ・2159m)だった。
 仕方がないので、教えられたとおりに前進すると、9時02分、社を祀った七高山に到着した。4時57分に駐車場を出発したので、4時間05分を要した勘定になる。でも、雪渓でまごついたことを勘案すると、まずまずだったといえる。
 このとき、天気は更に悪くなってきて、雨が降り出してきた。気温もかなり低いので、休憩のついでにカッパを着けることにする。
 でも、まだ仕事が残っている。鳥海山の頂上である新山へ行かなくてはならない。
 10分ばかり休んだ後、七高山を後にして新山に向かう。
 外輪山を行者岳のほうへ戻り、標識に従って外輪山から内輪山のほうへ向かって降りていく。視界がないので、こんなことは分からないというより、ただロープに導かれて降っただけだが……。
 急降下が終わり、一度は大物忌神社のほうへ向かったが、途中で頂上との標識を見付けて神社へ行くのはお預けにして、取り敢えず、新山のほうへ先に行くことにした。
 ここから新山へは、大岩、小岩を乗り越えていかなくてはならず、少々、難儀であった。でも、ペンキマークを辿っていくと、分かり難くはあったが新山の頂上に到着した。9時52分のことだった。
 頂上に到着しても、何も見えず、感慨というものも特に湧き上がることもなく、登頂の記念写真を撮っただけだった。こんな訳で、頂上滞在時間は10分足らずで、すぐさま、下山。大物忌神社に立ち寄り、ここで簡単な食事をしてから下山に取り掛かる。
 10時42分頃、神社を出発。
 以後、往路を忠実に辿って、14時41分、に鳥海高原ライン終点駐車場に帰り着いた。

鳥海山頂

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