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2017-06

藤原岳 - 2017.04.16 Sun

 一昨日、4月14日の朝、「天気もよさそうだから、山へ行ってみる?」と、姫君に水を向けてみる。多分、断られるだろうと思っていたが、案に相違して、「何処へ?」と乗ってきた。シメシメと思いつつも、これを顔には出さずに、「孫太尾根か、藤原岳。どちらがいい?」と彼女の意黄を尋ねる。
 どちらでも良いという返事だったので、あれこれ思案して、花の種類が多いことが期待できる藤原岳に決めた。
 私にとって今年の山行きは、3月9日の丸山(孫太尾根)、3月12日の藤原岳、3月16日の入道ヶ岳である。これに対して姫君は、この内3月12日の藤原岳以来の1ヶ月ぶりということになる。なお、このときの藤原岳は、7合目からの登山道には踏み固められた雪に覆われていたので、ここから引き返している。
 ちなみに、これまでの花の収穫について述べておく。
 丸山では、途中のセリバオウレン、頂上のセツブンソウとフクジュソウだったが、これらはまだ咲き始めたばかりで、目を凝らして探さなければならないという状態であった。
 藤原岳の7合目までは、花は何も見付け出すことはできなかった。
 入道ヶ岳は、目的のフクジュソウには出合うことができたが、その他については何もなかった。
 このような状態で、鈴鹿の花は例年よりも遅い感じである。4月半ばといえど、今年は3月に何度も雪が降ったようでもあり、思ったように花が咲いているかは何とも言えないが、これまでのようなことはなかろうと考えて、9時前に自宅を出発した。
 この日は金曜日。平日の朝方ということもあって道は混んでいたが、渋滞箇所はなく、概ね順調に走ることができ、10時過ぎには大貝戸登山口の駐車場に到着する。
 平日とはいえ、この時間帯では駐車場が空いているか、否かが心配であった。到着してみると、やはりこの不安は的中。空きスペースはまったく残っていなかった。
 ここが満車の場合は、ここから歩いて7、8分の所にある観光駐車場を使用するのが常であるが、このときはここまで行くことはなく、登山口近くの墓地入口付近に駐車スペースが残っていたので、ここに路上駐車する。
藤原岳a
 10時35分、身支度を整え終えて、登山口を歩き始める。
 本日は黄砂がきているのか、モヤがかかっているのか判然としない。このため、一応、晴れてはいるようだが、カラッとした晴れではなく、薄日が差し込んでいるような柔らかな日差しである。
 でも、結構、気温は高いようで、半袖のTシャツの上に薄手のスポーツシャツという姿でも寒くはない。
 現在の登山口は神武神社の鳥居下で、ここから神社の境内を縦断する形で進んで行くと、大きな川の左岸に行き当たる。
 ここから右手に採ると、ここから先は昔からの登山道で、迷おうにも迷いようのない立派な道が続いている。藤原岳へ通じる登山道は幾つもあるが、この大貝戸道というのが、その中にあって最もポピュラーな登山道であり、登山者の8割がたが使用しているといっても過言でない。
 この登山道を簡単に説明する。
 まずは標高であるが、登山口が160m、8合目が850m、10合目の避難小屋が1070mである。なお、藤原岳は幾つもの頂を持つ山で、登山者が頂上と呼んでいるのが『展望の丘』で、ここの標高は1140余mである。ちなみに、頂上の標高が判然としないのは、ここは国土地理院の測量が行われていないため、標高線から推定した数字に過ぎないので、余mという表示を余儀なくされるのだ。
 また、この間の距離を地形図から計ってみると、登山口から8合目が2270m、8合目から避難小屋までが760mで、登山口が避難小屋までを通しでは3030mということになる。
 なお、昭文社の『山と高原地図』におけるコースタイムは、登山口から避難小屋までの往路が120分、復路が75分となっている。
 本日の狙いの花は、キクザキイチゲである。これにどれくらいの花が加わるかというところだ。狙いの花は8合目以遠に咲くので、何とか、ここまでは辿り着きたいが、ここまでは標高も距離も現在の私の体力では、限界ぎりぎりのところで、果たして辿り着けるか否か、微妙である。
 また、姫君もリハビリ中の身では、私と似たりよったりというところなので、とにかく行ける所まで行ってみようと思っての出発であった。
 ここの登山道は、ポピュラーなものだけに、誰にでも手軽に登ることができるようにキツイ勾配の所はジグザグに切ることによって同じような勾配を保っているので、比較的に楽に登ることができる。このため、体力に自信のあった頃は、この道は不遜にも馬鹿にしていたところがあって、縦走の帰りに使う程度で利用度は低かった。
 だが、最近ではこの道でさえも、もてあまし気味である。こうなると、以前は何でもなかった道でも、結構、急な勾配で、それがずっと継続していることを気付く次第であった。
 こんなことを考えながら歩みを進めていると、道の左手にミヤマカタバミが咲いているのに出合う。
 この花の葉っぱが、わが三太夫家の家紋に使われていることから、馴染みの深い花である。とはいえ、これは気温とか日差しとか、気象条件に左右される確率が高く、なかなか綺麗な状態でお目にかかることは少ない花である。ここは樹林の中で、日差しという意味では充分でないのにかかわらず、綺麗に花びらを開いているものが多く、稀に見る良い状態であった。
 以前なら、これを見れば大喜びしてザックからカメラを取り出すところだが、今は歩き始めて間もない頃に道草を食っていては上まで辿り着けないと危惧するのだろう。7合目辺りで撮ればいいと思い、これは横目に見るだけで、歩みを停めることはなかった。
 間もなく、2合目の標識が見えてきた。ここに、以前、ミノコバイモが咲いていたことがある。だが、これは1年限りに終わって、以後、ここに咲いているのを見たことがない。それでも万が一ということを考える助平心が働くので、以前、咲いていた場所に立ち寄って探してみるが、そんなに都合よくはことは運ばなかった。
 先ほどのミヤマカタバミは形の良い花があっても立ち止まらなかったのが、ミノコバイモとなると咲いていないことは分かっていても探すという違いは不思議に思う向きもあろうから説明すると、前者は珍しい花ではなく、ある場所にはいっぱい咲くが、後者は見られたとしても年間で10個もあれば良い方という希少価値があるためのことである。
 4合目にやってきた。
 ここには倒木のベンチがあり、一服するのに適している。ここで一休みしたついでに、スポーツシャツを脱ぎ、半袖のTシャツ1枚の姿になる。素肌をさらした腕にあたる風はやや冷たさを感じるが、寒さよりも気持ち良さを感じる。
 ここを過ぎると、いよいよ花が顔を覗かせるのが、何時ものことだ。
 スミレとか、ニシキゴロモを思い描いていたが、最初に登場したのがカンアオイであった。それも少し変わったカンアオイであった。見付けたのは姫君で、その第一声が、「変わった形のカンアオイよ」であった。近寄って見てみると、なるほど、今まで見てきたみものとは色が少し異なっていた。『スズカカンアオイというものがある。それではないか』と思い、後に調べてみると、やはりスズカカンアオイだった。
 ここから少し離れた所に、予定どおりにタチツボスミレがあったが、数は思っていたより少なく、咲き始めて間もない頃だと推定される。
 続いて5合目を過ぎた辺りでニシキゴロモも現れたが、これもまだ花付きの少ない、小さな株であった。
 4合目から5合目過ぎまでは、この山に多い杉の植林ではなく、雑木林であったが、再び、植林の中へ入っていく。すると、姫君が立ち止まり、「近道を行く?」と尋ねるので、「いや、真っ直ぐ、楽なほうから」と私が答えた。この頃になると、私の足は軋み始め、ギシギシという音が耳からも聞こえるような錯覚に陥っていた。
 ここで下山者に出会い、言葉を交わす。それによると、避難小屋の裏手の広場で1輪だけだが青色のキクザキイチゲを見付けたこと、また、これまた1輪だけだったが小屋前でミノコバイモが咲いていたとのことだった。
 キクザキイチゲは、咲いているとしたら咲く場所は分かっているので、それほどの朗報ではなかったが、ミノコバイモは年によって咲く場所が異なるので、お目にかかるのは運が左右する。このため、このニュースは私の萎える登高意欲を奮い立たせる役目を果たしてくれたようで、それまで8合目で引き返そうかと逡巡していたのが、この瞬間、何処かへ飛んで行ってしまった。
 13時07分、8合目にやってきた。出発が10時35分だったので、ここまで2時間30分もかかったことになる。
 ここにザックを降ろして、花を探しに出かけてみる。ここでも過去にミノコバイモ、カタクリなどに対面しているので、2匹目のドジョウを狙ったのだが、諺どおりに空振りに終わる。でも、ヒロハアマナだけはミニ群生を見せてくれていて、空振り三振ではなく、言うならば振り逃げ成功とでもいうのだろうか。
 先ほどの耳寄りな話を聞いてから、私はここから帰るという思いはなくなっていたが、姫君の体調もあるので、私の思いだけで行動はできない。このため、彼女の意向を尋ねると、「これが最後になるかも知れないから行く」というものだった。
 ここ8合目にはセリバオウレンが群生するが、この場所にはロープを張って立ち入れないようにしてある。最近、誰が決めるのか、こんな無粋なことをするところが多いが、ここでは立ち入ることなく、登山道脇で見付かった。
 次はトウゴクサバノオだが、これは時期が早かったか、見付けるには至らなかった。でも、この代わりといっては変だが、ミスミソウが見付かった。
 また、ここからは、この山を全国的に有名にしたフクジュソウが点々と咲いていた。入道ヶ岳では1ヶ月も前に見ており、ここも終わりに近いか、既に終わったと思っていたが、まだ、蕾状のものもあり、この先も楽しめそうな雰囲気であり、明らかに入道ヶ岳に比べると遅れている。とはいうものの、ここでも花びらを散らすものもあるので、一概に断定することはできないが……。
 とある場所で白い花、ミスミソウを見付けたが、花びらが閉じ加減で形も悪いので、そのまま通り過ぎた。
 この直後、「この先にキクザキイチゲが咲いていた」という下山者のが聞こえた。それなら見にいこうと、踵を変えて降ることにする。すると、案内された先には、先ほど、ミスミソウだと思ってやり過ごした花がそうだと分かる。だが、開いていないのでは仕方がないので、また、登り返すことになった。
 9合目を過ぎて、いよいよフクジュソウも花盛りになってくる。しかし、私の足のほうは思うように動かなくなり、花などどうでもよくなり、必死に動かぬ足に鞭打っていた。
 この急斜面は、いわば胸突き八丁という所で、このルートの最難関区間である。でも、ここの複数個所で過去にミノコバイモが咲いていたことがあり、本日も可能性はあるので、細心の注意を払って進んで行くが、そんなに上手いこと見付かるものでもなく、疲労だけが溜まっていった。
 それでも何とか、この難関を踏破、頂上台地に登り上がる。何と、そこには雪が多く残っていたのには驚きであった。そういえば、今年は3月に入ってから、この鈴鹿では何回も雪が降ったので、雪解けが遅れたようだ。
 ここから10合目避難小屋までは指呼の間である。14時33分、ここに到着する。この時間である。小屋前広場にも、小屋の中にも登山者は見当たらなかった。
 8合目から約1時間26分、登山口から約4時間もかかって、やっとのことで辿り着いた。
 でも、最後の大仕事が待っているので、ノンビリとはしておりない。
 早速、ミノコバイモとキクザキイチゲの探索を始めた。
 ミノコバイモは、こやからそれほど離れていない場所だということだったので、思い付くままに丁寧に探すが、この広い原っぱ状の所で10㎝にも満たない草花を探そうとするのが、そもそも無理な相談である。結局、何も得られないままに終わる。
 これがダメでもキクザキイチゲがある。この花は、以前、何回も見ており、今年もそこへ行けば簡単に見付かるだろうと安易に考えていた。しかし、いつもならそれほど労せずに見付かるはずの花は、今年に限って咲いてはいなかった。
 それなら、先ほどであった登山者の見たという青色のキクザキイチゲを探すしか他に有効な手立ては持ち合わせていない。彼の言う、小屋の裏手の草原に立ってはみたが、そこはあまりにも広過ぎた。それでも探すだけである。あちらこちら歩き回ってみるが、やみ雲では徒労感を味わうだけに終わった。
 もう、そろそろ諦めようかと思った矢先、目の中へ白い花が飛び込んできた。「おっ、あれだ」と思って近付いてみると、はやり、求めていた花であった。
 早速、カメラのファインダーを覗き込んだのは言うまでもない。こうして姿勢を低くして視線を脇にやると、何と、そこにもあるではないか。こうして1つを見付けると、次々と見付かるのは何時ものことである。こうして、都合、7、8個は見付けてカメラに収め、上機嫌で小屋に戻る。
 そして、15時12分、充分な収穫に機嫌を良くして下山に取り掛かる。
 こうしてツイてくると、また、それがツキを呼ぶようである。
 下山時に出会った人からも耳寄りな話がもたらされる。それは、ミノコバイモの咲いていたという話である。これは場所も具体的で、帰り道でゲットすることができた。
 こうして気分は上々であったが、身体は正直であった。気持ちとは裏腹に足はガクガクで踏ん張りは利かず、転びそうになりながらも何とか持ち堪え、15時10分、転び込むように登山口に帰り着いた。
 こうして、登り4時間、降り2時間の往復6時間を要した藤原岳登山を終えた。
2017_04_14 キクザキイチゲ

● COMMENT ●

こんばんは、藤原岳よく頑張りましたね、綺麗なキクザキイチゲが迎えてくれてよかったね。目的のお花に出会え疲れが半減できたので頑張れたことでしょう。藤原は登山口の標高が低いので標高差があり大変です。私も以前何度も登りましたがこのところ春先になると行こうかと思いますがためらってなかなかいけていません。

 tenkei さん、おはようございます。
 年寄りがあまり無理をしてはいけないということを身をもって知ることになりました。なにぶん、政府公認の正真正銘、末期高齢者だということを失念しておりました。政府のお墨付きをバカにした報いだと、つくづく反省をしております。
 なお、キクザキイチゲは、何時もの場所には咲いておらず、半ば諦めかけたが、運よく見つかったので、足の痛いのも辛抱できました。


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